便秘薬が効かない?便秘薬依存症と大腸メラノーシスについて【薬剤師が解説】

便秘薬が効かない?便秘薬依存症と大腸メラノーシスについて【薬剤師が解説】

こんにちは、薬剤師のきゃんです。
今回は便秘薬依存症と大腸メラノーシスについて解説します。

便秘に悩む女性
便秘に悩む女性

便秘薬を飲まないと便が出ないんです・・・。

きゃん
きゃん

便秘薬に依存してしまっているかもしれませんね。

腸を刺激して便を出しやすくする刺激性の便秘薬を使い続けていると、大腸が自然に働けなくなる便秘薬依存症になる危険性があります。
大腸の粘膜が黒っぽくなる大腸メラノーシスになってしまう刺激性の便秘薬もあります。

慢性便秘症の患者さんを快便に導いてきた薬剤師が、刺激性の便秘薬によっておこる便秘薬依存症と大腸メラノーシスの原因と、便秘薬に依存しないために気をつけることについて解説します。

この記事でわかること

  • 便秘薬依存症とその原因
  • 大腸メラノーシスとその原因
  • 便秘薬に依存しないために気をつけること

便秘薬依存症

大量の錠剤

便秘薬依存症とは

便秘薬依存症とは、刺激性の便秘薬を飲まないと便が出ない状態のことを言います。

便秘薬依存症では、大腸はほとんど自然な働きができなくなり、腸内に溜まったガスを自然に出すこともできなくなるため、お腹が張って苦しくなります。

便秘に悩む女性
便秘に悩む女性

便秘薬にも依存症があるなんて・・・!

便秘薬依存症の原因

刺激性の便秘薬を使い続けていると、だんだん効きにくくなってきます。
そのとき、刺激性の便秘薬を適切な量をこえて増量しながら使い続けると、便秘薬依存症になってしまいます。

便秘になったとき、すぐに病院を受診する方は少なく、市販の便秘薬が効かなくなってから病院を受診される患者さんが多いです。
ひどい時は、1日100錠以上の刺激性の便秘薬を飲んでも効かないと訴える患者さんもいました。

きゃん
きゃん

刺激性の便秘薬を大量に使い続けると、大腸の筋肉はダメージを受けすぎて、ほとんど自然な働きができなくなります

チェックポイント

刺激性の便秘薬を使い続けると、大腸はほとんど自然な働きができなくなり、刺激性の便秘薬を飲まないと便が出ない状態(便秘薬依存症)になります。

大腸メラノーシス

大腸

大腸メラノーシスとは

大腸メラノーシスとは、正常ならピンク色のはずの大腸の粘膜が、色素沈着によって黒っぽいヒョウ柄のような状態になることで、「大腸粘膜黒皮症」と呼ばれることもあります。これは、大腸内視鏡検査で発見することができ、画像検索してみると、なかなか衝撃的な画像がたくさん出てきます。

※閲覧注意大腸メラノーシスで画像検索

大腸メラノーシスは色素沈着だけでなく、大腸の細胞がダメージをうけて減ってしまうことで大腸の働きが弱まるため、便秘の悪化につながります。
いまだ証明されていませんが、大腸メラノーシスを合併した大腸癌は多く、その関連性が指摘されています。

大腸メラノーシスの原因

アントラキノン系と呼ばれる刺激性の便秘薬を長期間使い続けることが原因とされています。
原因となっている刺激性の便秘薬を中止すると、1年程度で本来のピンク色に戻るといわれています。

アントラキノン系の刺激性の便秘薬は、健康食品ダイエット食品・飲料などにも含まれています。
大腸メラノーシスの患者さんの中には、野菜としてアロエを毎日食べていた方もいました。

きゃん
きゃん

アントラキノン系の成分を見分けて、使い続けないように注意しましょう。

チェックポイント

アントラキノン系の刺激性の便秘薬を長期間使い続けることが大腸メラノーシスの原因になります。

便秘薬に依存しないために

トイレ

刺激性の便秘薬の安全な使い方

便秘薬依存症にならないためには、次の2つの方法があります。

  1. 刺激性の便秘薬は、2~3日以上の間をあけて”とんぷく”で使う
  2. 非刺激性の便秘薬を使う

1つ目は、長期間使い続けるのではなく、”とんぷく”で使う方法です。
2~3日以上、損傷した大腸が回復するための時間をあけることで、大腸の自然な働きを保ち、便秘薬依存症を予防します。
しかし、損傷した大腸が回復するための時間には個人差があります。
刺激性の便秘薬の効き目が悪くなってきたら大腸からのSOSのサインです。大腸を休ませる時間を長く設定して、しっかり休ませてあげましょう。

2つ目は、刺激性の便秘薬ではなく、非刺激性の便秘薬を使う方法です。
大腸の細胞を刺激しないため、損傷を防ぐことができます。

便秘に悩む女性
便秘に悩む女性

大腸メラノーシスにならないためにはどうしたらいいの?

大腸メラノーシスは、刺激性の便秘薬の中でもアントラキノン系が原因で起こります。
こちらも、長期間使い続けるのではなく、”とんぷく”で使う方法を心がけましょう。

チェックポイント

便秘薬に依存しないためには、刺激性の便秘薬を2~3日以上あけて”とんぷく”で使うか、非刺激性の便秘薬を使いましょう。

きゃん
きゃん

刺激性の便秘薬の効き目が悪くなってきたら大腸からのSOSのサインです。
大腸を休ませる時間を長く設定して、しっかり休ませてあげましょう。

まとめ

  • 刺激性の便秘薬を使い続けると、大腸はほとんど自然な働きができなくなり、刺激性の便秘薬を飲まないと便が出ない状態(便秘薬依存症)になります。
  • 刺激性の便秘薬の中でもアントラキノン系長期間使い続けると、ピンク色のはずの大腸の粘膜が黒っぽいヒョウ柄のような状態になる、大腸メラノーシスになります。
  • 便秘薬に依存しないためには、刺激性の便秘薬を2~3日以上あけて”とんぷく”で使うか、非刺激性の便秘薬を使いましょう。
  • 刺激性の便秘薬の効き目が悪くなってきたら大腸からのSOSのサインです。大腸を休ませる時間を長く設定して、しっかり休ませてあげましょう。
きゃん
きゃん

刺激性の便秘薬は安全に使って、大腸メラノーシス便秘薬依存症にならないようにしましょう!