便秘にいいと聞いて、はちみつ入りヨーグルトを毎日食べているのに、お腹がはって苦しい!
もしかしたら、FODMAP(フォドマップ)と相性の悪い便秘のタイプかもしれません。
腸活にいい食べ物といえば、みなさんは何を思い浮かべますか?
ヨーグルトは腸活にいいとよく聞きますが、FODMAPを多く含む食品は、相性の悪い便秘のタイプ(便秘型の過敏性腸症候群)の方にとっては、むしろ逆効果になってしまいます。
FODMAP(フォドマップ)と相性の悪い便秘のタイプについて詳しく解説します。
この記事を読むとFODMAPを多く含む食品と、相性の悪い便秘のタイプを理解して、自分にあった腸活ができるようになります。ぜひ最後までご覧ください。
この記事でわかること
- 食物繊維とFODMAP(フォドマップ)について
- FODMAP(フォドマップ)と相性の悪い便秘のタイプ
食物繊維とFODMAPについて
食物繊維とは
食物繊維とは、「人の消化酵素で消化されない食物中の難消化性成分の総体」と定義されています。
小腸で消化・吸収されずに大腸まで届く成分で、水溶性と不溶性の2種類あります
水溶性の食物繊維 | 不溶性の食物繊維 |
---|---|
・ゲル状になってうんちをやわらかくする ・善玉菌を増やして腸内環境を整える | ・水分を吸収してうんちのボリュームを増やす ・胆汁酸を大腸まで運んで腸の動きをよくする |
もともと食物繊維の摂取量が少なく、大腸の運動が正常なタイプの便秘に食物繊維の摂取は効果的です。
食物繊維のなかには、おなかの張りの原因となりえるFODMAP(フォドマップ)があります。
FODMAP(フォドマップ)とは
FODMAP(フォドマップ)とは、小腸では消化・吸収されにくく、大腸で発酵性を有する糖類の略称です。
- F (fermentable) :発酵性の
- O (oligosaccharides) :オリゴ糖(フルクタン、ガラクトオリゴ糖)
- D (disaccharides) :二糖類(ラクトース)
- M (monosaccharides) :単糖類(フルクトース)
- And
- P (polyols) :糖アルコール(ソルビトール、マンニトール、キシリトールなど)
FODMAP(フォドマップ)は、大腸まで運ばれて腸内細菌のエサになって発酵することで、ガスの発生やおなかの張りの原因になります。
チェックポイント
小腸で消化・吸収されにくい食物繊維のうち、大腸で発酵性を有する糖類の略称をFODMAPと呼ぶ。
FODMAPを多く含む食品
FODMAPってどんな食べ物に多く含まれているの…?
『パン・豆類・ヨーグルト・りんごを食べてはいけません ―世界が認めたおなかの弱い人の食べ方・治し方』(江田 証著・さくら舎刊)で有名な江田 証先生のPRESIDENT Onlineの記事より、FODMAPを多く含む高FODMAP食や、あまり含まない低FODMAP食の一例をご紹介します。
FODMAPを避けた方がいい便秘のタイプの場合、高FODMAP食は避けて、低FODMAP食を食べるようにしましょう。
FODMAPと相性の悪い便秘のタイプ
FODMAPと相性が悪い便秘
FODMAPと相性が悪いかどうかって、どうやって判断するの…?
FODMAPと相性が悪いかどうかは、便秘の他におなかの痛みや、張りなどの不快感といった症状があるかどうかでわかります。
FODMAPは、大腸で腸内細菌のエサになって発酵することで、ガスの発生やおなかの張りの原因になります。
このおなかの張りを強く感じてしまうような、便秘型の過敏性腸症候群(IBS)の方には、FODMAPは逆効果になってしまいます。
チェックポイント
おなかの張りを強く感じてしまう便秘型の過敏性腸症候群は、FODMAPと相性が悪いです。
便秘型の過敏性腸症候群とは
過敏性腸症候群とは、検査を行っても炎症や腫瘍などの器質的疾患が認められないにも関わらず、下痢や便秘、腹痛、おなかが張るなどの、下腹部の不快な症状が持続するものをいいます。
腸の神経が過敏になっていることが原因といわれていて、慢性的に便秘がおこるものを便秘型の過敏性腸症候群と呼びます。
おなかの痛みや、おなかの不快感がくりかえし起こっていて、次のうち2つ以上あてはまる場合は要注意です。
- おなかの痛みや不快感が排便によってやわらぐ
- おなかの痛みや不快感がある時、排便の回数が増減する
- おなかの痛みや不快感がある時、便の硬さが変化する
チェックポイント
おなかの痛みやおなかの不快感が、排便によってやわらいだり、便の硬さや排便回数の増減に影響するときは腸の神経が過敏になっている可能性があります。
便秘型の過敏性腸症候群の治療
便秘型の過敏性腸症候群は、腸の神経が過敏になっているため、お腹の張りを強く感じてしまいます。
そのため、ひとまず3週間は、お腹の張りの原因となりえる不溶性の食物繊維や、FODMAPを避けるようにするのがおすすめです。
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次の3ステップでFODMAPを食べられるかどうか試してみましょう。
- 高FODMAP食を3週間制限する
- 食べたいものから1つずつ、1~2週間かけて高FODMAP食を再開する
- 再開後、お腹の不調が現れた高FODMAP食は摂取しないようにする
薬物療法としては、リナクロチド(リンゼス®)や高分子重合体であるポリカルボフィルカルシウム(ポリフル®、コロネル®)の内服があります。どちらも医療用医薬品であり、医師に処方してもらう薬です。
余談ですが、ポリカルボフィルカルシウムは下痢型の過敏性腸症候群にも使用できます。
- リナクロチド:小腸や大腸の細胞に作用して、クロライドチャネルを開いて便をやわらかくしたり、痛みを感じる神経の働きを抑えて痛みをやわらげたりする効果があります。
- ポリカルボフィルカルシウム:消化管内の水分を保持したり、便の輸送を調節したりする、水溶性の食物繊維としての作用があり、便秘にも下痢にも効果があります。
市販の薬はないの…?
残念ながら、市販薬で対応するのは難しいです
便秘型の過敏性腸症候群では、市販の薬で対応するのは難しいです。
刺激性の便秘薬は、腹痛を強く感じてしまうため快便にはなりませんし、非刺激性の便秘薬も、お腹の張りや不快感は残るため、快便にはなりません。
チェックポイント
便秘型の過敏性腸症候群では、FODMAPを多く含む食品を避けて、改善しなければ消化器内科を受診しましょう。
まとめ
- 小腸で消化・吸収されにくい食物繊維のうち、大腸で発酵性を有する糖類の略称をFODMAPと呼びます。
- FODMAPは腸内細菌のエサになって発酵することで、ガスの発生やおなかの張りの原因になります。
- おなかの張りを強く感じてしまう便秘型の過敏性腸症候群は、FODMAPと相性が悪いです。
- おなかの痛みやおなかの不快感が、排便によってやわらいだり、便の硬さや排便回数の増減に影響するときは腸の神経が過敏になっている可能性があります。
- 便秘型の過敏性腸症候群では、FODMAPを多く含む食品を避けて、改善しなければ消化器内科を受診しましょう。
FODMAPとの相性を確認して、自分に合った腸活をしましょう。